嵐の2017年11月8日発売のシングル「Doors~勇気の軌跡~」のフラゲ日の11月7日の売上はオリコン推定で32万606枚で、断トツの1位発進となった。嵐のシングル前作の6月28日発売の「つなぐ」の初日売上は22万5,153枚だったから、この数字を見る限りは単純に前作より大幅増だ。
また、初週売上は57万1,386枚で、前作「つなぐ」の38万9,311枚を大幅に上回った。これで、めでたしめでたしだろうか?
ところが、この増加はまやかしなのだ。今回の「Doors~勇気の軌跡~」は、嵐としては異例の3種販売だから、2種販売だった前作「つなぐ」から増えて当たり前なのだが、盤種数が違うものを比較しても意味はない。もちろん、熱心なファンならそれくらいのことは分かっている。
3種販売の「Doors~勇気の軌跡~」の正しい比較対象は、3種販売の直近シングルだった2016年5月発売の「I seek/Daylight」の、初日売上40万6,274枚と、初週売上78万6,371枚だ。つまり、今作「Doors~勇気の軌跡~」の初日売上は、同じ3種販売の前作シングル「I seek/Daylight」から、何と8万5,668枚もの大幅減少で、初週売上も10万枚を上回る大幅減となったのだ。
ただ、大幅減少自体は致し方ない。両A面シングルだった「I seek/Daylight」は、累計で嵐のシングル歴代3位の82.9万枚を達成した大ヒット作だったのだから。それでも、今作「Doors~勇気の軌跡~」は5日目の段階で、累計売上が既に55万枚を突破しており、初週売上はおそらく56~58万枚に達すると思われる。CDが売れない時代に、素晴らしい数字であることは確かだ。
「I seek/Daylight」の場合、大ヒットの理由は、大野智主演の人気ドラマ「世界一難しい恋」の主題歌「I seek」のMVが初回限定盤1の付属DVDに収録され、松本潤主演の人気ドラマ「99.9 -刑事専門弁護士-」の主題歌「Daylight」のMVが初回限定盤2の付属DVDに収録されていたからだった。2つのドラマと共にそれぞれの主題歌も大人気となり、両方のMV欲しさに初回限定盤1と2の両方を買ったファンも多かったのではないだろうか。
3種販売に踏み切ったのは、売上を伸ばしたいからか
そもそも、何故今回は両A面でもないのに、3種販売に踏み切ったのだろうか。今回の初回限定盤1の付属DVD収録の表題曲「Doors~勇気の軌跡~」(櫻井翔主演ドラマ「先に生まれただけの僕」主題歌)のMVはいいとして、初回限定盤2の付属DVDに収録されているMVに採用された曲「NOW or NEVER」は両A面扱いの重要な位置付けの曲ではない。
実は筆者はこのシングルが3種販売で、初回限定盤2がMV入りDVD付きとの告知を見た時に、二宮和也か松本潤の主演映画の主題歌ならダブルA面シングルになれたのに、と思った。残念ながら、どちらの映画の主題歌も、嵐の担当ではなかった。
今回初回限定盤2のMVに採用された「NOW or NEVER」は、嵐が出演しているガンホー「パズル&ドラゴンズ」CMソングだ。言われてみれば、テレビでこのCMを見た時に、やけに嵐が本気で踊っているな、と思ったものだった。ようやく、今回のシングルの初回限定盤2でしっかりMVまで制作していたからだ、と納得できた。これはこれで楽しい曲だ。
ただ、天下の嵐ともあろうものが、主演ドラマや映画の主題歌でダブルA面シングルを3種で販売するのではなく、単なるCMタイアップ曲を初回限定盤2のMVに格上げして3種販売に踏み切ったということは、ある意味残念な気もする。
おそらく、3種販売にすれば2種販売より売上枚数が大幅に増えるのを期待しているのだろう。現在、ジャニーズで嵐に次ぐ2番手グループの関ジャニ∞やHey! Say! JUMPは3種販売のシングルで初週25万枚以上を売り上げているが、嵐なら2種販売でも初週39万枚前後の売上だから、差は歴然だ。
だが、嵐のシングルは2016年初めまでは2種販売で45万枚以上売り上げていたことを思えば、売上が減少傾向にあるのは紛れもない事実だ。このため、ジャニーズ事務所としては、もっと高い数字を上げるために3種販売に踏み切ったのだろう。
もちろん、MVのDVD付き初回限定盤をもう1つ制作すれば、その分の制作コストが嵩む。しかし、大掛かりなセットで子役の少年まで雇うなど、かなり周到な準備をして作った初回限定盤の「Doors~勇気の軌跡~」のMVに比べて、初回限定盤2のMVはそれほどコストをかけずに作ってあるように思われる。もっとも、筆者は初回限定盤1は購入したが(2017年11月7日付「嵐の『Doors ~勇気の奇跡~』MVは8歳の少年が主人公のドラマ仕立て」を参照)、今のところ初回限定盤2のMVはテレビの情報番組で紹介されたのを見ただけだ。
最後に、この3種販売のシングル「Doors ~勇気の奇跡~」の初週売上が、直近の3種販売だった2016年5月発売の「I seek/Daylight」の73万7,951枚から大幅に減少したとはいえ、ジャニーズ内で断トツの売上であることに変わりない。また、国内男性アーティストとしてもトップクラスの売上であることは間違いない(女性は、握手券や総選挙投票権付きのAKB48および姉妹グループのCD売上が異様に多い)。
「Doors ~勇気の軌跡~」(3種)デイリー売上 (オリコン推定)
2017/11/7 320,606 累計
2017/11/8 125,387 445,993
2017/11/9 51,959 497,952
2017/11/10 30,983 528,935
2017/11/11 23,127 552,062
2017/11/12 18,392 570.454
初週売上: 571,386
注:初週売上はデイリー報告を行わない店舗の調整分が加わるため、デイリー推計の合計と一致しない。
参考:前作の初週売上
「つなぐ」 (2種) 389,311
「I seek/Daylight」(3種) 737,951
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